序論 – 前半

私の卒論を担当くださる先生が決まり、個別指導に入った時、最初に先生から以下を書いて提出するように言われました。

①論文のタイトル(仮でよい)
②作品を選んだ理由
③卒論で書きたいこと

わたし、これって自己紹介じゃないですけど、新しく担当くださることが決まった先生に、私こんなヤツですってちょっとした説明で送るもんなんかなと思ったんです。

そこでWORDに、この作品を初めて読んだのは〜から、今回卒論にどうかと思って読み返したら〜とか、登場人物の心理描写が〜とか、テレテレと作品との馴れ初めやらなんやらを書き込んで送りました。

ですがこの、「選んだ理由」や「卒論で書きたいこと」ってのも、既に卒論の中の一部だったんですよ〜!!

 

普通にデスマス調で書いてたんですが、これを書いた後に修正のご指示はいただきつつ対応してどんどん進み、章立ても仕上げてOK頂いたら、「序論完成です」とか言われて大層驚きました!え、これも本文なの??と。(笑)

もちろんこの後で、である調に直して卒論らしくしたのはいうまでもありません。(笑)

 

 

さて、序論です。 卒論は序論、本論、結論の3つから成ります。ここ、読んでください。で、序論ってのは、この論文で何について書きますよーってやつですね。これ、こちらの記事で書いた、「A=Cである」のことと思っていいと思います。先生に書いてくださいと言われた 「③卒論で書きたいこと」 が、もろにそれですね。

先生のご指示では、「②その作品を選んだ理由」 も書くように言われていますが、序論には、どうしてそれを取り上げるに至ったかも含め、その作品の何について書きたいのかを、まず宣言するんですね。書きたい事=結論と考えてよいようです。序論でこの論文はこれについて書く!と宣言し、本論で根拠オンパレードをやって、最後に結論でふたたび、だからA=Cなんだ!をやるわけです。

①のタイトルは悩む方も多いかもしれませんが、②は、結構すんなり書けるのではないかなと思います。だって、作品が決定してるという事は、どうしてその作品を選んだかの理由がもんやりでもおありのはずですものね。

 

ただ、「③卒論で書きたいこと」は、具体的に書くように言われました。この時点ではまだ「A=Cだ!」を何にするかをはっきり決まってない方も多いとは思うのですが、ここを少し具体的に考えてみると、あなたの「A=Cだ!」が少し見えてくるかもしれません。

例えばですね。仮にシェイクスピアの『オセロ』で書くとして、デズデモーナって悲惨よね~。いい家に生まれて美人でいくらでも結婚相手なんているのに、オセロを選んだばっかりに殺されるなんて。この人のこの物語における役割って何なんだろ…。これについて書きたいな〜と思ったとします。で、この序論で、「デズデモーナについて書きたいです♡」みたいなサラっとした感じじゃなく、もう少し突っ込んで考えてみるってことです。(というか、この例えはサラッとしすぎだなw)

私、『オセロ』で書いたわけじゃないのでちょっとステキな例が出せるか、しかも例として皆さんがお読みになるのに大丈夫なのか甚だ不安ですが、よく『オセロ』について書かれたブログ記事とか読むと、オセロは元々ムーア人であることからコンプレックスがあって、美しい妻を持つことに誇りはありつつ常に不安や嫉妬もあり、イアーゴはそこを言葉巧みに突いたなんて言われてますよね?(ネットでググってみてください) このオセロの嫉妬を駆り立てる役割をデズデモーナがどう担ったのかなどは、物語の進行と同時に、キャラクター設定や各場面等で洗い出して、論じていくことができると思うのです。また、それを代表する場面なんかもあるはずです。更には嫉妬について書かれた心理学の先生の本なんかも読むとヒントがあるかもしれません。そういうのを絡めて、デズデモーナの役割を論じたいな…と少し見えてくるかもしれないですよね。「③卒論で論じたいこと」には、そのくらいあたりまで書いた方がよいということみたいなのです。(たぶんね、たぶん。なんか偉そうに書いてて本当なのか段々心配になって来たわ…汗)

でも少なくとも私の場合、先生からのご指摘を受けて、そのくらいまでは書きました。でも、ここまでどんなふうに何を論じたいかを具体的に書ければ、章立ても結構見えて来ますし、論拠探しのやるべき事も見えて来るように思えます。

序論を書くに至るまでには少なくとも2、3回くらいは作品を読んで、気にかかるところを付箋なんか貼っておいてほしいのですが、その中で気にかかる場所や重要な場面だと思える箇所って色々あるはずなので、そのあたりを大いに使って考えてみるとよいのではないでしょうか?

 

ただですね。卒論の一筋縄ではいかないところは、最初はそう思ってたけど、書き進めるうちに違う見解が出てきた…最終的に言いたいことはこれじゃなくなった…なんかもあると思うんですよね。そうしたらそこは戻ってまた修正してくださいね。

私も、先生に「序論OKです」と言われたものと、最終的に提出したものは違ってますので…。

 さて、序論にはこの後、章立てが入ってきます。章立てについてはまた別途、後半で書きますね。

 

それからですね、ご注意いただきたい点が一点、、、、私の記事や世の中の卒論について書かれたものを読んで参考にするのはいいと思うのですが、一番大事なことは担当の先生のご指示に従うことです。疑問は必ず先生に聞き、そのご指示に合わせてください。卒論の目的は「卒業するため」であり、「単位を取るため」です。ほかの誰かの書いた記事の通りにしたところで、その人は単位をくれません!単位をくれるのは担当の先生です。そこを間違えないでくださいね~。

 

 

 

卒論の練習によかった課題

というわけで、本日早速2回目の記事。

大学の授業で、論文の何たるかを教わるわけではないのに、いきなり最後に高い壁として卒論が出てくるのが辛いとこですよね。

レポートでは引用の仕方とか、英文タイトルには下線を引くとか、基本的なことは知っていくことができるのですが、論述ってのがよくわからない…。

私が取り組んだ課題で、唯一、文学で卒論を書く人には予行練習のようでよかったなって思えた課題がこれでした。

英米文学特殊講義の分冊1です。

「マクベスが行ったことは、運命であった」もしくは
「マクベスの行為は内的願望によるものだった」

運命だからしょうがなかったと外に理由をつけるか、マクベス自身の意志でやりたくてやったんだ、のどっちでもいいのですが、どちらかに論旨をきめ、その根拠を本文から引っ張ってきて選んだ論旨の正しさを主張していく。

まさに論文です。

マクベスをご存知ない方はあらすじなどを書いてくださっている方がいるので読んで頂ければと思いますが、魔女の予言、妻からの圧力などから運命という外的要因が理由だったともいえますし、その割にはかなりいろんな人をガシガシ殺してらっしゃいますよね?とか、予言っていうけどこじつけじゃないの?いきなり今の王であるダンカンを殺すってのは唐突じゃない?やっぱやりたくてやってんだわ〜!というのも、どちらもありなのです。

論旨はどちらでもいいのですが、根拠をしっかり用意して説明するのが論文です。この論拠が参考文献の資料であったり、本文そのものであったりするのです。

わたしは画像で丸してある通り、「マクベスの内的願望・感情が発現したもの」として論じたのですが、なぜそう言えるのかを本文と文献を根拠に書いていきました。

例えば、魔女に「いずれスコットランドの王になるお方!」と言われたからって「そうだ!なるんだ!」と思えるほど、魔女の言葉にどれほどの力があるんだろう…と思ったので、この時代の魔女ってどんなもんなんかなと図書館で資料を借りて調べてみました。そうすると、当時は魔女裁判なんかも行われていて、魔女という存在自体が社会的に小さいものではなかったようなのですが、魔女の言葉は神の啓示のような強い威力を持つものではなく、別に絶対的なものではないんだなってことが分かりました。ここで、魔女に言われたからってすぐ「王になれるかも!」ってのは唐突だな~と思ったんです。実際、となりでバンクォーも「王の親になるお方!」とか言われてますけど、マクベス程強い影響を受けていないんです。マクベスは日ごろから王になりたかったから、魔女の言葉に強く惹きつけられたんだなと思いました。なので、魔女の言葉はそれほどの威力のあるものではないし、バンクォーも大して影響されてはいない、でもマクベスだけは強い影響を受けた。彼の中に元々その願望があったからだ と 文献や本文の必要箇所を「根拠」として提示しながら論じていきました。

逆に、もうひとつの論旨である「運命だった」を選んだなら、当時の魔女の持つ力の強さを説明している文献を探してきて、それを根拠に、これだけ強い威力を持つ魔女の言葉を聞いた上、「コーダの領主!」と呼びかけられた直後に実際コーダの領主の地位がマクベスにもたらされたことを考えると、それを信じてしまうのは自然なことだ みたいに論じていけばいいのだと思います。

参考文献ってつまり、自分の意見を通すための、道具なんですよ。なので、ここでこの主張を通したいと思ったら、それを後ろ盾してくれるものを探すんです。

これを小説全体を通して続けていきます。

「運命だった」を選んだ場合、妻がダンカン王殺しを迫ったから殺したと主張するなら、なぜ妻に迫られたからって本当に殺すのか、そこにマクベス夫人との日ごろからの関係性を持ってきて理由づけるのでもいいのです。それほど強い関係性だから、妻の気迫せまる要求が実際の殺しに向かわせたのだというなら、その関係性をこうだと結論付けられる理由は本文のどこにあるのかをまた引っ張り出してきます。
「内的願望」を選んだなら、元々願望があるのに、なぜ妻があのような気迫でせまってくるシーンが必要だったのか、妻の発言はマクベスの願望にどう触発づける位置を占めたのかなんかを本文から引っ張ってくるんです。私はありきたりですが、マクベス夫人に名前が与えられていない事から、妻とマクベス自身の一体性を主張して、マクベスが妻の口を借りてそれを自分に言わせて奮起するようにしむけたとしました。夫人=マクベスで、自分の願望を成就させるために妻の口を借りたと。それを理由づけるのにまた本文からいろいろ根拠を探すんです。
これはまた、じゃあ自分に元々願望があったのになぜ妻を介して自己奮起させる必要があったのか、とかも言えてきますよね?こうやってどんどん理由づけて自分の論旨を押し通すのです。「え、そういうけど、じゃあなんでここはこうなの?」って言われたとしても、ひとつひとつ根拠を付けて言い返せるようにしていくっていうんですかね?なんか裁判で争ってる弁護士みたいですが・・・!(弁護士がこんなことしてるのかどうかはしらんけどw)

このレポートは大好きな愛媛のA先生が採点してくださいました。私のレポート上では、コーダの領主の地位が手に入ったと同時にマクベスが <ダンカン王を殺すのはまだ私の想像に過ぎないのに…>といきなりここでmurderという言葉を使うのですが、これが唐突すぎる。王になる=殺害ってのがなんの脈略もなく急にここに出てくるのです。これは元々彼にその想いがあったからだ、これが内的願望の存在を明らかにしているのだ。と書いたのですが、そこにラインしてくださってました。王になる運命だったら、王が病気で急死する可能性だってあるのに、いきなり殺害ですよ?変ですよね?ここで急に殺害って言うなんて、絶対元々考えてたんだーーー!ってなわけです。

まぁ、私の論文への取り組み方なんで、ちょっとつたない感じでしょうけれども、一応この考え方で卒論も綴りなんとか合格は頂けたので、あながち遠くはないと思います。

こういう課題に取り組めると、論文練習にはすごくよいよな~と思いましたよ。

ちなみに今期の課題をみると、

「通信教材『英米文学特殊講義』の第1編第2章The Merchant of Venice 論を出発点として,ユダヤ人を視点にしたShylock 中心の自論を展開しなさい。」

なんかが論文の練習になりそうなのかなと思えるのですが、どうでしょうね?今回は論旨を選択肢として与えられていないので、そこを自分で決めないと論点がずれる可能性もありそうですが、ユダヤ人であるshylockだからこうなんだ!というような論旨を先に決め、そこからその根拠を挙げて「自論を展開」していけばいいと思います。

卒論を見据えている方は、こういったレポートには積極的に取り組むとよいのではないかなと思います。(*^-^*)